山田寛「ポル・ポト<革命>史」*5

 池澤夏樹毎日新聞の書評で取り上げていたのをきっかけに読んでみる。最初に登場人物の多さ(というか馴染みのなさ)に辟易して「うーむ、これは俺には縁がない本なのかな」と諦めかけていたのだが、最後の「ポル・ポトの死」、そして「ポル・ポトの妻」の箇所に目を通し、もう一度最初からページをめくる。いちいち、新しい人物名が出る度に、簡易ダジャレ法で頭に入れながら。(詳細はとてもここには書けない。)そうしたら、うん、かなり濃厚な読書体験が出来ましたねえ。ありがとう、池澤夏樹って感じだ。もう一度その書評を読みたかったのだけれど、ネット上では見つからなかった。池澤はどこに注意してこの本を読んだのだろう。読書中、ちょうど北オセチヤ学校占拠事件が発生し、「虐殺」というキーワードで両者が容易に結びつく。他人を大量に殺すことでしか清算できない感情というのは、いったいいかなるものなのかなとちらと思う。