後藤繁雄「くろい読書の手帖」

くろい読書の手帖 (Life works (2))
 うん。面白かったです。昨日はちょこちょこっと揶揄するようなことを書いたけれど、基本的に、全編「へえ、こういう本があるんだ」と、教育される気分で読み進めることができました。ただ、丸谷才一風に言わせてもらえば、ちょっと「気取って」書かれた文章ばかりだったので、ここに出てくる褒め言葉を額面通りに受け取っていいのだろうかという不安はちらりと生じます。これって、読む人の品位に関わる問題なのだろうか?
 参考までに、取り上げられた本を数点抜粋。スーザン・ソンダク「火山に恋して」。ゼイディー・スミス「ホワイト・ティース」。ミシェル・ウェルベック素粒子」。リチャード・パワーズ「ガラテイア2.2」。村上春樹海辺のカフカ」。よしもとばななハゴロモ」。阿部和重シンセミア」。どことなく、高橋源一郎が紹介しそうな顔ぶれではありますね。若者にも興味が起きそうなラインナップ。やっぱり高橋源一郎の影響って或る世代には絶大なものなのかな。(後藤繁雄氏1954年生まれ。)ってゆうか、単に時代的なものなのかな。