似た人

 十数年ぶりに甥がやって来た。「ぼくですよ、ぼく。ほら大宮の」と言われても、「ああ、これがうわさのなんとか詐欺」と頭に浮かぶ。なぜなら、目の前に佇む青年は、あまりに幼い頃の彼とは面差しを異にしているから。が、瞬間、笑いとともに見せた表情は 、紛れもなく既知のそれと合致、ようやく心を許して、九州に行った際の土産(明太子)を受け取った次第。
 という話を、仕事から帰った際に母親から聞きました。「ついさっきのことよ。もうびっくりしちゃったー」とずいぶん興奮気味。彼女としては、この話のポイントは「新手のオレオレ詐欺じゃないか」と疑った箇所にあると強調したかった模様。ふーん、とつぶやいた後、「でも、まだほんものと決まったわけじゃないんだよね」と、誰もが入れるであろう突っ込みを入れておく。