山田詠美+高橋源一郎「『顰蹙』こそ文学」

「群像」1月号の目玉のひとつです。いやー、やはりおもしろいなあ。読んでてぞくぞくと背中がしびれる。編集者側は、この対談のテーマを「新しい文学の話」と定めていたようなのだけれど、あはは、このふたり、脱線するする。(芥川賞を含めた)文学賞選考会の描写、綿矢りさ金原ひとみ論、笙野頼子のラディカルさ、等々。と書いてて、なるほど、あまりテーマからは逸脱してませんでしたね。さすが。ただ、話の引き出しが膨大すぎて、読んでるこちらとしては、その「些末」の方に頭が行ってしまうわけで。
 現在綿矢りさって、「文藝」に囲われてるんですってね。囲われてるというのか、つまり1社専属契約ってやつ。(「純粋培養」なんて書かれてるけど。)ふーん。高橋源一郎は、そんなことをしてるとやせ細ってしまうぞと心配しておられる。

高橋 囲い込んで、純粋培養するのなんて、今どき少女漫画でやっているかどうかぐらいだし。それは、確かに、人気者だし取材もたいへんなことはわかるんだけれども……。
山田 純粋培養するんだったら、もう本当に責任を持って徹底的に純粋培養にしたら、結構変なもの、変種が育つかもしれない。途中で中途半端にするくらいだったら、私、意味ないと思うよ。
高橋 何かひ弱になっちゃうんじゃないのという心配があるんですよね。特に綿矢さんは、文章が勝負じゃないですか。小説というよりも要するに文の問題だから。あれって外部がない小説だよね。中で閉じていて、僕はとってもうまいと思うんだけど、今のやり方を続けていくのは、人ごとながら心配しちゃうよ。

 ってことは、次に彼女の小説が読めるのは「文藝」誌上でなんだね(もしくは書き下ろし)といった具合に、情報としてもチェック可。