日本一怖い!「ブック・オブ・ザ・イヤー2005」

SIGHT別冊 「日本一怖いブック・オブ・ザ・イヤー2005」 (別冊SIGHT)
 毎年恒例、SHIGTのブックレビューが別冊に。出世しましたねえ。というか、やっぱり読んでる人がいるってことですよね。個人的に、ここで取り上げられてる本は、他の所のよりも自分の好みと近くて嬉しいのです。
 というわけで、今年の5冊として、文芸・評論部門、高橋源一郎斎藤美奈子が何を選んだのかというと。

高橋源一郎の5冊
パンク侍、斬られて候町田康 マガジンハウス
「野川」古井由吉 講談社(高橋さんの年間ベスト)
「8月の果て」柳美里 新潮社
「最後のアジアパー伝」 西原理恵子鴨志田穣 講談社
対称性人類学――カイエ・ソバージュV」中沢新一 講談社選書メチエ
斎藤美奈子の5冊
「金毘羅」笙野頼子 集英社(斎藤さんの年間ベスト)
アフターダーク村上春樹 講談社
好き好き大好き超愛してる。舞城王太郎 講談社
「トリアングル」俵万智 中央公論新社
文学賞メッタ斬り!大森望豊崎由美 PARCO出版

 別に、ここで取り上げられてる本を、おのおの手放しで絶賛しているわけじゃないですよ。ただ、2004年に出た本の中で目に付いたものを選んだという感じで。特に、「トリアングル」なんて。「これこそがほんとの負け犬の生態」とエクスキューズしてるけど、両人突っ込みまくりだったからなあ。まあそれはともかく。
「金毘羅」や「野川」というのは、新聞の回顧欄でもわりかし出ていたような気がします。あと津島佑子の「ナラ・レポート」とか。舞城王太郎も、いちおう紹介はしておく、といった風情で。逆に、「アフターダーク」などは(あくまでわたしが目にした限りでは)扱いが、かなり冷淡、だったような。
 他に、編集部の選んだ今年の話題本3冊も。

蹴りたい背中綿矢りさ 河出書房新社
「負け犬の遠吠え」酒井順子 講談社
13歳のハローワーク村上龍/絵・はまのゆか 幻冬舎

 この前の「群像」を読んだときにも思ったけれど、高橋さんはほんとうに綿矢りさにべた惚れですね。<この人はタイムマシーンに乗ってどこかから飛んできたようなところがある。言ってみりゃ、太宰治みたいなもの>。タイムマシーンか。というか、確か綿矢さん太宰フリークであったような。
 中沢新一対称性人類学」は未読です。なので<これ読んだあとに小説をいろいろ読むと、非常にいい補助線になる>という2人の会話にはついていけてないのかもしれません。今年のキーワードは“対称性”、なんて言われても。「金毘羅」「パンク侍」「好き好き大好き」……。要するに、オーソドックスじゃないってことなのかな。