水木しげる雑感

ユリイカ「特集・水木しげる」(ISBN:4791701380)を買ってきました。わー、なんていい人なんだ、京極夏彦って、と、彼の代表作を一編も読んでない人間にもそう思わせる飾り気のない人柄を味わうことができます。冒頭の対談でね。つーか、単なる水木しげるファン? いや、おもしろかったです。水木しげるも(こちらで知り得る限りの)いつものハッピーぶりを展開させているし。日本の誇るべき賢老人だね。
四方田犬彦は、「戦中派水木しげる」という、水木戦争マンガを俯瞰した実に力の入った文章を寄稿してます。水木ファンおよび研究者は必読でしょう。まあ、この雑誌自体が「戦争と水木しげる」といった一大テーマを掲げているようなものなんだけれど。そういや、前に見ましたよ。水木しげる展で。ここに載っているマンガの原画。すごかったよー。戦友みんな殺されて、自分ひとりだけ助かった男が狂いながら歌ってるシーン。編集者として、あの絵にはじめて触れた人の声を聞きたいです。ほんとに。仕事とはいえ、かなりに御苦労な体験だったのではと推察する。
――といいつつ、わたしはさほど水木しげるのマンガ自体に触れたことはないのですが。名作の誉れ高き「河童の三平」も未読だし。「悪魔くん」は買ったことあるけど。あの主人公って、水木しげるの作品にしてはかなり整った顔をしてますよね。あ、「千年王国」の方じゃなくて。「鬼太郎」は、たぶんちょこちょこと手を染めた程度。学研マンガでフォローしたという感じです。
で、またもうかっているらしいんですよ。水木しげる記念館(→)というのが。そういえば、「妖怪大戦争」にも出てきてたのかな。日本を代表するあのマンガ家や、実験色豊かなあのマンガ家の記念館より、人の入りがいいらしいです。ふーむ。とすると、例えば、藤子不二雄記念館なんて、頭のいい人たちがまじめに考えれば、これまた同様にかなりに人の入りがよさそうなものが出来上がりそうな気がするのだけれど、ああ、これこそ藤子不二雄ファンが考えそうなことなのかな。