深読みのタイトル

松浦理英子笙野頼子の対談集「おカルトお毒味定食」より。松浦理英子の発言を抜粋する。(ちなみに、1994年3月においての対談です。)

私と笙野さんのデビュー時の共通点を発見したんです。二人とも、タイトルからして、これは売れないなというタイトルでしょう(笑)。〔註:松浦理英子→「葬儀の日」。笙野頼子→「極楽」。〕女で、しかもデビューして売れようと思えば、タイトル一つにしても「海」であるとか、「ベッド」であるとか「情事」であるとか「ダイヤモンド」であるとか、女だというようなコノテーションを発していないと売れない。『葬儀の日』も『極楽』も、ぜんぜん違うでしょう。しかも、私は死ぬ時の葬儀だからまだいいけれども、笙野さんの場合は死んだ後の極楽だから、これはますます売れないなという気がした(笑)。

ははあ。じゃあ、あの本も、はたまたあの本も、当然のように松浦理英子のコードに引っかかっていたのかな。おそろしいことだ。2005年の現在において、彼女の言うところの「女だというコノテーション」が有効なのかどうかはわからないけれど。(有効なのかな? 誰かに聞いてみたいところだ。)