『ティファニー』の新訳は?

現在、新訳バージョンの『冷血』トルーマン・カポーティ著、佐々田雅子訳、新潮社刊)を読んでいる最中であります。この訳者は、ユージェニデスの『ミドルセックス』でも、安定した力業を披露していることから、安心して読み進めることが出来ます。まあ、その内容についてはとても「安心」などという境地からはかけ離れているのですが。何せ、一家4人殺人に関する、世界初の「ノンフィクション・ノベル」……。(「ノンフィクション・ノベル」のジャンルはわたしが作ったとはカポーティの弁。)
そうなんだ。昔からこの本読みたかったんですよね。だけれども、新潮文庫に入っているそれは、あまりに字が小さくて、「まあ、そのうち改訂版――字が大きいのが出るだろう」と悠長に構えていたのです。で、出たのが、改訂版どころか、単行本での新訳。こ、これは、買わねば! と値段も何のその、飛びついた次第であります。
にしても、どうして同著者の『ティファニーで朝食を』の新訳は出ないんですかね? う、うー。正直、これまた、現在新潮文庫に入っているそれの文章は、あまり好みでない……。少々、古過ぎる印象があります。誰かやってくれないかな?(ややこしい版権の問題とかあるのかな?)