『のらみみ』(1)(2)(3)

キャラとキャラクターは明確に峻別すべきだとの伊藤剛氏の説に、再三に渡って「援軍」として取り上げられているこの『のらみみ』ですが、あー、ごめん、とてもそんなメタレベルでの読みを冷静にこなすことなど出来なかったです。今年は、まったく、自分の好みにストレートに響くマンガに出合い過ぎるなあ。エンドレス・リピーターになってしまいましたよ、このマンガの。
キャラ紹介会社というのは、『モンスターズ・インク』のあれですよね。そして、「キャラ」と意識しているキャラというのは、江口寿史の『キャラ者』の流れか。とかいって、あー、確かにそういう歴史の踏まえ方にもやられたのだけれど、今回、何が一番心に響いたのかというと、ここに出てくるキャラの“多彩さ”。たまらないです、ほんとに。脳髄にガンガン来る。
書店で、このマンガの表紙しか知らなかった頃は、「うわ、ずいぶんと可愛さを鼻にかけたマンガだな(つーか、『うる星やつら』のパロディ?)」とちょっと引き気味だったものの、いざ通読してみると、「なるほど、この表紙でも、ずいぶん作者(製作者側)はストイックな態度を貫いていたんだな」と納得してしまう、そんなマンガです。おすすめ、と心おきなく断言できる。もちろん、ベースに「藤子・F・不二雄」があるからこそのこの熱狂なんだろうけど。(第3巻の『パラレル送別会』なんて、Fの『パラレル同窓会』のもじりだろ? ネーミングからしてうますぎる。)(ついでに言うと、「原一雄」という名前も――本名だとしても――このマンガにぴったりと沿う、よいチョイスだと思う。)(何歳なんだろう? 気になるなあ……。)
ISBN:4091884113 ISBN:4091884121