『いきなりはじめる仏教生活』読了

 変な本……。って、これけっして貶したりしてるのではなく。充分、おもしろいっす。ただ、そのおもしろさが、書かれていることはもちろんのこと、語り口、に依っているところも、決して少なくはない、というところに戸惑ってしまうというか……。「一冊の本」(という朝日新聞出版社のPR誌)に、著者の釈徹宗氏が連載しているのを毎回楽しみに読んでいるのだけれど、そこでの文章よりも、さらに、くだけている……というのともまたちょっと違うのかな? こんな感じ。

 ぜひ、仏教の要素を含む事象を見つけたら、「おっ、ちょっとブツ(仏)が入っているね。いいねぇ、スガレてて」「これって、仏的だね。楽しいね。いいよ、これ」などと言ってほしいところです。ちなみに「スガれる」というのは、落語によくでてくる表現です。粋でナチュラルで様子が良いサマのことを言います。どうやら「素枯れている」と書くらしいです。「仏教で素枯れる」、どうでしょうか。

 この、内容と語り口とのギャップに魅力を見出す人もけっこういるんじゃないかな? ギャップ、でもないか。世代的なやつもあるのかもしれない。(釈徹宗氏は1961年生まれ。)読みやすいことは確かっす。そうだなあ、なってもいいかな、ブッディストに、と(少なくともぼくは)心も動かされます。一応、よほどのトラブルに巻き込まれない限り、ここ2年ほど、毎日坐禅は組んでいるのですが……。だからといって、特別に、御利益があるわけでもない。←当たり前だ。という、この「←」の意味を、これは誰もが、立派に噛みしめることもできるかとも思います。2008年。バジリコ刊。