吉本隆明「戦争と平和」*1
付録に吉本氏の友人、川端要壽氏による若かりし頃の吉本真秀子のエピソードが載っている。吉本真秀子というのは、えーと、いまでいう「よしもとばなな」のことです。海燕賞受賞パーティーでのお話。
会場に入り、私が真秀子を見つけると、七、八人のアルバイト仲間とワイワイやっている。私と眼が合うと、真秀子は仲間から抜け出してきて、すこし紅潮しながら、笑いを浮かべて頭を下げた。
「ペンネームは、何ていうの?」
「ウッフフ……。ばななよ」
「えッ、ばなな? 吉本ばなな?」
「そう、吉本ばななよ」
「何で、そんな……」
「だって、面白いでしょ」
真秀子はケロケロッと笑って答えた。
「ウーム」私はうなってしまった。
ついでながら、元「海燕」編集長根本昌夫氏のインタビューも引用。ユリイカ8月号「文学のエッジを駆けぬけて」。
―― 新人賞を選ぶ段階で、こいつは王だ、こいつは香車程度かなという決め打ちをやっていくわけですか。
根元 それを決めるのは二作目ですね。
―― 吉本ばなななんかは海のものとも山のものともつかないものが、あれよあれよと女王になっていった感じ(笑)。
根元 ただ、いわゆる文壇的な「王」には最初からできないとは思った。彼女自身がそれを拒否していたしね。
中学時代は、お父さん(隆明氏)が嘆くほど成績の悪い子だったのにねえ。近くの高校じゃ無理だと言われていたのに。(しかし、そんなこと書いちゃいかんよな…。)作家として成功して、よかったね。うん。ほんとに。