舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」*2

 いわずと知れた前回芥川賞候補の中の大目玉。ようやく手に取って読んでみました。手に取るまで、ちょっとした逡巡があったのも事実なのだが。つまり「読んで厭な気持ちになったら困るなあ」という。厭というか病的なhighというか。でも、いざ読み終えてみたら、杞憂に終わったね。いや、実のところ、かなり満足して読み終えることができた。(highはあったけど、少なくとも病的なそれではなかった。)
 なるほどなー。表題作、誰もあらすじについて触れていなかった理由がこれでわかった。これじゃあ、言えないよなあ。「あらすじ」という名においての簡単な説明は。そもそも、そういう筋を追うというより、もう舞城王太郎の語り口にただ共振していただけだったのかもしれんし。言葉のかたまりとして、面白がっていたというか。別にこれが小説の冠をかぶってなくても全然構わない、とかいう面白がり方。個人的には、同時収録「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」の方が愛すべき作品だったのだけれど、それってたぶん俺の頭脳が中2レベルで止まってるのに他ならないからでしょう。