吉本隆明「超恋愛論」

超恋愛論
 ふむ。しゃべった内容を文字におこした本だから(「バカの壁」方式っすね)、ぼくみたいに、あまりこの人の著作になじみのない者でもすらすら読める。それに(やはりこれも養老孟司同様)、だいたい、前に言ってたことが繰り返し書かれてたりするしね。ひとかどの人物になるためにはひきこもりの期間が必要だ、とか。
 うん、まあぼくなんかは単純に「高齢の人がありがたい御説を開陳してくれてるんだなあ」と、言われていることをうのみにしちゃったりしてるのだけれど、さすがにそれは、少しまずいか。全細胞がふるえるような恋愛がいつか来る、とか。どんなにパートナーと話し合っても(歴史の重みゆえ)わかりあうことはできない、とか。――時間がたてば、いい具合に体内で醸造されるのかもしれない。