A・クルコフ「ペンギンの憂鬱」

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
 題名に偽りなしです。きちんとうつ気味のペンギンが出てくる。しかも、売れない小説家のペットとして。この設定だけで、ポイントの半分は取得したようなものですよね。
 深読みは、可能だね。ペンギンをみごとなメタファーとして。小説家は、(まだ死んでない人の)死亡記事を書いて生計を立ててるくらいだし。って、もう、しょんぼりしたペンギンが、飼い主にもたれかかっているというだけで十分「おいしい」のですが。
 訳者は、どことなく作中の雰囲気が村上春樹に似ているという。(実際、著者のクルコフ氏は「羊をめぐる冒険」が気に入っているらしい。)そういわれてみたら、そうかな。いまいち、女性キャラの印象が弱かったような気はしましたが。ペンギンと、(表紙の)女の子にお株を奪われちゃったかな。