2008-01-01から1年間の記事一覧

『パラレル』読了

提出されたイノセンスは、提出された時点で既にイノセンスではないわけだけれど、提出じたいにある種のイノセンスが漂うことは少なからずあって、今のところぼくにとっての長嶋有氏の魅力というのは、この「イノセンス」――というよりもむしろ「ある種」の方…

「ナンシー関大ハンコ展」

たとえ6年も前に召されたからといって、決して現在と関係がなくなったなどということはなく、今でも濃厚に、愛情の対象として自分の中で生き続けているのだけれど、今回の「ハンコ展」(@パルコファクトリー)に足を運び、よりその愛情がビビッドになった…

『遊興一匹 迷い猫あずかってます』読了

ほんとこわいんすよ、猫は。ぼくだって、深夜、犬の散歩中に襲われかけたことがあるし。集団で、だよ。(うろたえますね、ああいうときは。まさか蹴飛ばすわけにもいかないし。)「グレムリン」を、まざまざと思い出した。ふだんは可愛らしいのに、なんらか…

『猛スピードで母は』読了

川上弘美氏の随筆『あるようなないような』に「Hくん」として登場するその飄々とした加減にたいへん好意を抱いていて、前々から読んでみたいとは思ってつつも、どうにも機会がなく、最近図書館づいているのをこれ幸いと、ようやく手に取った次第。長嶋有著。…

『パートナーシップ・生活と制度』読了

でもって、シヴィル婚って何? という疑問から手に取った書。2007年。緑風出版刊。杉浦郁子他編。はーなるほど。要するに、結婚じゃないんだけれど、結婚と同じような権利をふたりひと組で享受できる法……って理解で、正しいんでしょうか? この前ニュースで…

『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』読了

面白いなあ。ちょっと、ステロタイプの轍を踏んでいる? とドキドキさせるような箇所はあるのだけれど、そうしたドキドキは、もちろん織り込み済み、んでもって、笑いを取るという高等技術にきちんと成功している。と、ぼくは思いました。いや、「経済」につ…

『本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬPART2』読了

なるほどなあ、と感心するのは、憤りをそのまま表現するより、その憤りを感じた内実(滑稽さ)の方を表に出す方が文章としての効果が高い、という説においてなのだけれど、まあこれも——月並みなようだけれど——誰もができるわけではないよなあ。少なくとも、…

分離

なんで関係のないところで「ウキウキウォッチン」やら「サングラス」やらのイメージが勝手に頻出したのかというと、自分で書いた「夕刊」の「刊」の字が、「モ」と「リ」に分離しているように見えたからだとわかったときには、いちおうはすっきりしたものの…

温冷浴(スタンダード)

1分間ずつ、冷浴と温浴とを交互に繰り返す、というスタンダードに結局は落ち着きつつあります。それを7回ほど。(余裕があれば11回ほど。)サウナは、えへへへ……どうもね、けっこうつらいものがあるんだ。いや、そこで流されている、ある種のテレビ番組が…

「冒険王・横尾忠則」展

横尾忠則氏のイラストレーター時代の原画(ペン画)を生で見る、という機会が今までなくて、だから、今回のコンセプトである「冒険王」はきちんと楽しみつつも、どうにも、そちらの存在の方にかなり気を取られていました。なかでも、んー、これは、と唸った…

『本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ』読了

結局、図書館で借りて来ました。1989年。日本文芸社刊。金井美恵子著。なかでは、「ブック・ガイド」批判なんてものが掲載されてはいるけれど(というか、全篇がそんな趣になっているような気がしないでもないけれど)、それでもやっぱり、ここで取り上げら…

『細雪』のabjection

金井美恵子著『小説論——読まれなくなった小説のために』読了。87年に岩波書店から出ていたものが、このたび朝日文庫で登場。面白かったっす。もういちど読みます。(朝日文庫関係者の方々、次は1989年の『本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ』を、…

「鳥のビオソフィア」展

昔、小学校に置いてあったマンガで、美少女がカラスに眼球をほじくり出されるというのがあったのだけれど、そんな、もう2度と思い出されることはないだろうといった記憶をふたたび浮上させることとなった展覧会であります。4本脚のニワトリの写真などあり…

耐えられないほどではないけれど

それでもやっぱり、笑わせる意図のない小説で、お年寄りが「わしはそんなことをいった覚えはないんじゃ」などと口にしているのを見ると、「わし」だの「じゃ」という存在の方に目が奪われてしまう、というところはありますね。音で聞くと、また違う感想(違…

『細雪』は楽しい

権威に弱いのかなあ? この記事(→●)の、 「日本文学では谷崎潤一郎の『細雪』がすばらしかった」 発言に触れ、再びぱらぱらと捲っている日々であります。 で、まあ最初は、時間があるときに、のんびりと、という風だったのに、やっぱりページターナー、す…

ていねいな字

4月からは、ほんとうに、字をていねいに書いていこうと思っています。前に『六度法ノート』や『美しい文字を書く技術』といった本に目を通した(そして、実際に練習もした)にもかかわらず、雑然とした字しか綴っていなかったので。意識改革。少し、上の『…

『ことばが劈かれるとき』読了

うう……。むつかしい本だなあ。というのは、現在自分が決して、ことばやからだが「劈かれ」た側にはいないんだろうなあということを思っているからでありまして。(あ、「劈かれ」とは「ひらかれ」と読みます。つんざく→劈く、と同じ語ですね。だから、「開か…

惨敗

結局今年も花粉には負けました。テレビの移動をしたりして、ハウスダストの攻撃ももしかするとあったからかもしれない。いやいや。とにもかくにも、薬さえ効かなくなる、というひどさを今回も体験して、あらためて、鼻呼吸のありがたみを味わいつくした次第…

「おふくろさん」他

そういや、この前、生まれてはじめて、森進一の歌を聞いたのです。「おふくろさん」とか「襟裳岬」とか。有名? って、まさに文字通り、タイトルしか知らなかったからなあ。ええ、たいへんに、おどろきましたよ。度肝を抜かれた。 というような体験をしてい…

チズ本

佐伯チズ著『佐伯チズメソッド 肌の愛し方育て方』(講談社+α文庫)をぱらぱらと。うん、おもしろかったっすよ。すぐに読めるし。いろいろと、試してみたくなるポイント数点。書きませんが。照れるので。 ――といいつつ、1点だけ。朝顔を洗う時と、入浴時、…

スーツ含有

帰りの東京駅で、雑多な服装の人々の中に、スーツ姿の男性が含まれているのを見て(ま、自分も含まれているのだけれど)、その同一性に、何か、頭がくらくらするようなものを感じました。今更ながらですが。どうしてみんな一緒なのだろう? 顔以外。ふだんは…

京都日帰り

京都に行ってきました。いや、ほんとうに「行ってきた」って感じ。日帰りだもの。最近は、すごいんすね。ひかりののぞみも、10分間隔で発車してるんだ。稀少、という概念とは遠く隔たった世界。20年ぶりくらいだもんなあ。夏休みに行った際、駅に降りた時の…

『原初生命体としての人間』読了

甘かったなあ。と反省したのは、毎晩風呂あがりに「継続は力なり」を試すべく行っている、開脚前屈のやり方に対してなのですね。せいぜい、毎回3秒くらいだもんなあ。脚を広げて、腕を伸ばして、背を倒して、またできない、と確認し、まあそのうち床につく…

デスパ3も終了しました。

うちのデッキじゃBSをテレビで「点けて」いないと録画できないものだから、そりゃあもう地上波の2倍気をつかうつかう。今回は、たしか、野球等で開始時間がずれる、ということはなかった(と記憶している)から、さほどストレスを感じるというほどではなか…

『変えてゆく勇気』読了

義の人だなあ。上川あや氏。後光も見えます。などと調子に乗ったことを書いてはいけない……。ぜんぶがぜんぶ、というわけではないものの(当たり前だ)、氏が受けてきた心の痛みは、少なくとも、そのエッセンスのようなものは、こちらの心身にまで染みこんで…

『カミングアウト・レターズ』読了

すげえ良心的な本だなあ。というのが最初に浮かび上がってきた感想っす。教育関係者の方々は必読ではないかと。読んだ人と、いろいろ語り合いたくなるよ。ただ、それでもちょっとばかり、てれる、というわけではないものの、うーん、何というか……無粋を承知…

「ソドムとゴモラ」に突入

昨年からちびりちびりと読み進めている『失われた時を求めて』。ようやく第4篇「ソドムとゴモラ」に突入しました。ゲイ&レズビアンワールドの開幕。などと書くと、なんだか無駄に扇情的な様相を醸し出しそうになってしまうのはひとえにぼくの言語センスの…

「ブルータス」犬特集

そういえば、「ブルータス」犬特集「犬のことを知るための24冊」に、松浦理英子氏の『犬身』は載っていませんでしたね。次回かな?

我流温冷浴

今年の花粉症は何とかこれで抑えられないものかと思いまして。 水シャワー ↓ 水風呂(16℃) ↓ サウナ(90℃) ↓ 水シャワー ↓ 水風呂 ↓ サウナ ↓ 水シャワー ↓ 水風呂 ↓ サウナ ↓ 水風呂 ↓ お湯風呂(42℃) ↓ 水風呂 ↓ 身体洗浄 ↓ お湯風呂 ↓ 水風呂 ↓ 水シャ…

『遠い朝の本たち』読了

ひさびさに、来た。何がかというと、両腕に走る電流。雷に打たれたようなショック。というのを地で行く感覚。30過ぎたら、もうぜったいに味わえないと思ってたんだがなあ。うれしい誤算。といっても、決して衝撃的な内容というのではなく、こんなことをいう…