2006-01-01から1年間の記事一覧

「見知らぬ乗客」

同じパトリシア・ハイスミスの原作でも、「太陽がいっぱい」と「リプリー」とではだいぶんおもむきがちがうみたいだ。ぼくが見たのはマット・デイモン主演の「リプリー」の方で、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」はそのメロウなテーマ曲しか知らない…

「汚名」

ケーリー・グラントの性的指向には興味はない。ないんだけれど、うーん、ここでの彼は、あんまりイングリッド・バーグマンを愛しているように見えないんだよなー。あれじゃあ、まるで、イングリッド・バーグマンが殺されていくのを文字通り見殺しにしている…

こども扱い

墓参りの帰り、昼食を摂ろうと、高島屋の地下でぼーっと並んでいたら、係の中年男性が来て、「ボク、もうちょっと詰めてくれるかな?」と腕をつかまれ前の方に誘導されてしまった。30過ぎの人間を捕まえて「ボク」もなにもないと思うが、もしかすると、近く…

こども返り

藤子・F・不二雄の「やすらぎの館」にせよ、クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国」にせよ、大の男がこども返りするのに必須なのは、演技をする女なんじゃないかなー、とぼんやりと思ったり。まあ別に「オトナ帝国」での演技をする女、つまり、スカートをめくら…

現代史知識不足

昔、西原理恵子が「今あたしに山口二矢の霊が憑依した」と叫んでエキサイトしていた記憶しているのだけれど(もちろんギャグで)、山口二矢の事件って、西原理恵子が生まれる4年も前の出来事だったんだね。今日はじめて知ったよ。てっきり、彼女が同時代の…

比較文化:鳥肌

西日本では鳥肌のことをさぶいぼと言うとか。ほんとうだろうか? 知人の高知の男性は、結婚相手に、「さぶいぼが立った」と報告したら、怪訝な顔をされ、「何それ? 気持ち悪い」と言い放たれたらしい。よく別れなかったものだ。「それじゃあ関東では何と言…

「鳥」

――別に洒落るつもりはないのだが、このヒッチコック1963年の不朽の名作を見て、ぼくは、文字通り、全身鳥肌が立った。純粋な恐怖で鳥肌が立つというのは久しぶりだったから、かなり新鮮だったね。特に、ヒロインの背後で、つぎつぎとカラスがジャングルジム…

いきなり父親に「劇団ひとり」のことを聞かれたのだが

なにやら、父親同士が知り合いという間柄らしい。ふーん。昔、夫婦で家までやって来たこともあるとか。その時に連れられて来たのは、省吾氏ではなくお兄さんだったとのことだけれど。 「じゃあ、お兄ちゃん(ぼくのこと)の年代の人たちには大人気なんだ?」…

「救命艇」

ヒッチコック1943年の作。原案はジョン・スタインベック、ということらしいけれど、ヒッチコックは彼の脚本が気にいらなかったみたい。他の人に頼んで、それさえもなかなかの渋めの出来だったようだ。大戦中、ドイツ軍により破壊された商船の乗客たちが乗り…

「最後の息子」初版本

吉田修一「最後の息子」、これ、単行本の初版を持ってるよ。白人がブロック塀を乗り越えてる写真のやつ。平成11年刊だから、えーと、7年前の本か。割にこれは出版前から出るのを待ってたんだよなー。まだ海のものとも山のものともつかない新人作家の本を買…

ラジオの吉田修一

散髪中、ラジオに突然吉田修一が登場したので割に驚いた。J-WAVEの「LOHAS TALK」。へー。こういうメディアにも出るんだ。映画の宣伝かなー、と思っていたら(今日は言っていなかったけれど)やっぱりそうらしい。 http://www.j-wave.co.jp/blog/lohastalk/ …

青春の終わり

2001年9月7日、図書新聞掲載。つまり、5年前の文章だね。書き手は詩人の田口犬男。 当時は、この文章に、ものすごくシンパシー、というか、ある種の救いを見出してたんだ。書かれた内容はもちろん、これが、自分ではなく他人の手で書かれたということに対し…

「海カフ」かあ……

週刊新潮で、福田和也が川上弘美の「真鶴」を、「海辺のカフカ」への応答なのでは? と書いている。「海カフ」かあ……。でもぼくは、すこしもそっち関係の連想ははたらかなかったね。むしろ、前にも書いたとおり、激しく「砂の女」を連想してしまったのだけれ…

多和田葉子に朗読してもらうんだったらこの文がいいな

ざんねんながら、日本で多和田葉子が朗読業を営んでいるのか否かはわからないのだけれど(「業」なのか?)、営んでいると仮定して、新刊「アメリカ 非道の大陸」の中でどこを朗読してもらったら嬉しいだろうとかんがえると、ぼくとしては、以下の文章になる…

「めまい」

ファンの人にはたまらないというキム・ノヴァクの野性的な魅力が、どうもぼくにはピンとこなくて。ミス・ノヴァク、やたらと顔がこわばってるんだもんなー。それを野性的と取るか都会的と取るかはたぶん見る人にかかっているのだろうけれど、その顔に加え、…

女優/男優

いまだに「男優」ってそっち関係のことばとしてとらわれ勝ちなのかな? 高校の頃、一度それで痛い目にあったことがあるんだ。(ちなみに男子校。)へんに敏感になってしまう。こっちとしては、なんの含みもなく「男優」と口にしただけなんだがなー。

「疑惑の影」

毎日が退屈でやってられないなーと思っているところに長らく帰ってこなかった伯父が家にやって来て生活がバラ色になったのもつかの間実は彼は殺人犯なのではという疑惑が湧き起こりさてどうしようと悩む映画。こうして、誰にも助けて貰えないものの「でも、…

敬虔さ

テレビで見るのと、実物を見るのとでは、またずいぶんとおもむきが違ってたなー。「新日曜美術館」での円空仏。もちろん、実物の方がはるかに敬虔さに満ちていた――と言いたいところだけれど、正直なところ、敬虔さにおいては、テレビで見たときの方が勝って…

「「伝える言葉」プラス」読了

自発的、という言葉を目にしても、特に感興が湧き起こったりはしない。どころか、なんだろう? 何か輪の中に取り込もうとしてるのか? などと、おかしな自衛心が働いてしまったりする。自己啓発商品の類は、これはもう生理的に苦手だし。まあ、自発的、とい…

クウネルトークショーは好評だったみたいだ

丸善本店売り上げフィクション部門、川上弘美「ざらざら」が1位。よかったねー。先月末の江國香織とのトークイベントが功を奏したか? ちらちらその場の様子をあちこちで拝読してると、けっこうよさげな雰囲気だったみたいで。クウネルに載ってるお弁当がど…

後悔っていうなら

川上弘美の「溺レる」に、「後悔っていうなら、ほとんどいつも後悔」というフレーズが出てくる。ぼくは、てっきりこれを、太宰治の「斜陽」で読んだとずっと勘ちがいしてたんだ。「斜陽」の女主人公が、書きそうではあると思う。手紙の中で。<生まれて来て…

「バルカン超特急」

列車の中で仲良くしていたお婆さんが突然消え、「ねえどこ行ったの?」と訊いても、みな「いなかったじゃないですかそんな人、しっかりしてよ」てな具合にぜんぜん取り合ってくれなくて、さてどうしよう、と悩む映画。ぼくは、見ている映画があまりにおもし…

「ハリーの災難」

森で出会った1体の死体を巡り、「俺が殺ったんだ」「いやあたしが」「ともかく埋めちゃお」「元夫だし」みたいな遣り取りが繰り広げられて、最後にハッピーエンドが訪れる映画。シャーリー・マクレーンのデビュー作――といっても、結局この20年でぼくがシャ…

秋の花粉情報

勘違いだったらごめん。現在、ぼくが見ているテレビの天気予報では、花粉情報ってのは流してないんだ。これ、なんで? 環境省のホームページってのを見ても、秋においての花粉情報にはとんと触れてない。春にはあんなにばんばん流しているのにねー。「な、な…

たとえば外情報(exformation)

インフォメーションにあらず。それは、内にあるものではなく、外に捨てられたものなので、あたまの「in」を「ex」に変えて、エクスフォメーション(外情報)と呼ぶ。 多くの<外情報>を含んだメッセージには深さがある。ある人が最終的なメッセージを作り上…

「ユーザーイリュージョン」読了

そういえば、ぼくはわりに昔から身体と脳との調和について書かれている本が好きだったりするんだな。身体と脳、というと、なにやらものものしいイメージがあるけれど、いやいや、そんなたいそうなもんじゃなく(と書くと、以下に記す本に対して失礼になるか…

グルーオン?

読んでるよ。「ガリレオの指」。むつかしいねえ。「エネルギー」や「エントロピー」といった分野になら、まだ想像を差し込む余地があるのだけれど、これが「対称性」なんて分野に至っては、正直、何が書かれているのかちんぷんかんぷんなんだ。カタカナ多い…

なんか「魂萌え」の評判がよかった

なんだか自分の周りでは、やたらと昨日終了したNHK版「魂萌え!」の評判がよくてねえ。んー、でも見なかったんだぼくは。星野智幸が10月23日の日記で「映画版の方がずっといいよー」と嘆いていたのにかるく影響を受けて。まあそのほとんどが原作未見(もちろ…

オカリナ1ヶ月

いきなり音を出さず、まずは口にくわえ、楽譜を見ながら指を動かす。すると、いつも間違っていたシャープやフラット、そして高音の指づかいを自分で納得するまで確認できる。すると、本番の際にも、すんなりと吹けるようになる。 ――「いきなり音を出さず」、…

まだかなあ……

ゼイディー・スミスの「On Beauty」。2005年の本だから、もうそろそろ新潮クレスト・ブックスにお目見えかな? 毎回書店に行くたびに、翻訳本コーナーで平積みにされていないかとチェックしてるんだ。新潮社、これに関しては、袖にしないで欲しいなあ……。