美と羊

<ところで、「美」という漢字はどのようにして出来たのか。> 「この字は中国でも砂漠地帯の人たちの間で生まれた字で、彼らにとって羊が大きいということは素晴らしいことだったので、羊に大きいと書いて美なのです」という嘘か本当か分からない説明を受験…

K2

しかし「矯正」という言葉の「正」の字にいちゃもんを付けておきながら、その直後に、「修正」という言葉を無自覚に用いてしまう不用意さというのはいったい如何なものだろうかと、前回書いた文章をふと思い返し、真夜中、2時間ほど眠れなくなる。こういう…

誘導(言い換え)

端的にいいますね。もう、利き手を扱っている文脈で、「矯正」って言葉をつかうのは止した方がいいじゃないかなあ。ほんとに。「矯正」「矯正」って、それ正しくないから。むしろ、やられた方としては「強制」(←洒落に非ず)としか受け止められないから。同…

ウェールズの左

左手で民草に手を振る天皇をあなたは想像できるか? と問われても、天皇の利き手になんて興味を持ったことなどいちどもなかったし——当今はもともと左利きだったとWikipediaに書いてあるけれど(しかし「とうぎん」と入れてもATOKですなおに変換されないのは…

また会えた

ロングスリーパーとはまた趣が異なるのだろうけれど、そういえば「三年寝太郎」ってのがいましたね。日本には。そしてまた、これも趣が異なるのだろうけれども、「野比のび太」とか。 ——というわけで、「ああ、帰ってきたんだなあ」と小学館の手法にまんまと…

多寡

日本の著名なロングスリーパーって誰でしょう? いち早く名乗り出てくれば、「(日本の)ロングスリーパーの象徴」として、今後も世間に認知され続けることと思います。 とかいって、いちおうぼくの記憶に残っている限りにおいては、丸谷才一と山田詠美がそ…

いまとは異なる

先週の「メロディアス・ライブラリー」で小川洋子が谷崎潤一郎の『細雪』を取り上げていたんですよ。*1いい放送でした。好きな感情がひしひしと伝わってくる、ってのは、ほんと、いいっす。 有名なのかな? 『細雪』の、現在のとは違うバージョンの話。つま…

筋肉痛

2ヶ月間休んでいたボディパンプを再開。どうして休んでいたのかというと……あまりこの手の話が好きではないひともおられるでしょうが……爪の水虫が、洒落にならないくらい悪化してしまったからなのですね。悪化といっても、ぜんぜん痒くはないのですが。ただ…

佑之先生

5月に引きつづき、今月も三浦しをんの新作小説が出てきて、かなりに嬉しい。まあこういうのも確たる僥倖っすね。続けてってとこが。よくこちら側の欲求を判ってらっしゃる。最新(『星間』)の方はまだ読んでないんすけど。神去なあなあ日常作者: 三浦しを…

風呂歌

やれやれつかれた。と自宅の浴槽に浸かりながらひといきついているところに、おそらくは換気口から隣人の男性の歌う声がひくく響いてくるのを耳にすると、何とはなしにシャーロック・ホームズの「まだらの紐」とかを思い出してしまうのだけれど——まあ御機嫌…

矛先

単行本に収録する際に、新聞雑誌連載時とは文章が異なったりしてると、わりにがっかりします。それはまあ、推敲の果てにそうなった、ということに(書き手側からすると)なるのだろうけれど——だからそれはりっぱな努力や誠意の一種として賞賛されることも判…

ミニマリズム

世の評判との齟齬を感じる、というほど大げさなものではないのですけれど、江國香織の『いくつもの週末』というエッセイ集と銘打たれつつも、その実——フィクションなのかノンフィクションなのか判然としない本をぐうぜん読んで、むしろ、このひとの代表作と…

馬車が見たい(それも二頭曳き座馭式馬車が)

ふと思いついて、「信任状捧呈式の馬車列の運行予定」(→●)ってのをときおりチェックしてるんですがね。更新されませんねえ……。あれっすよ。駐日大使が来る際に皇居の周りを走らせるというやつ(テレビでも見かける)——ほら、こんど、アメリカのジョン・ル…

寝床

どうにも厳しい。というのは、サウナに備え付けられているテレビから流れてくる効果音としての若い男の子たちの笑い声についてなんですけど。ううう。ナンシー関も書いていたように、落語の「寝床」そのままっすよ(→●)。字義どおりのジャイアニズムとでも…

ネオ・スリーピズム

前世紀までの眠りは、健康や休息のためといった覚醒時の価値観で語られていたのを、今世紀においては、純粋に「眠りの眠りによる眠りのための眠り」といった、睡眠時の価値観で語られ直さなければならないのではないだろうか? というような与太を、こういう…

ときおり、ムツゴロウの真似をして、「うしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ」と飼い犬の前で声を出してみると、こころなしか、ふだんより顔がほころんでいるような気がします。馬鹿にしてるだけかもしれないけど。 「Loldogs」(→●)はいいですね。かわいい。

クツワムシ

これも確か小3の頃。ペット店で見かけたクツワムシの枯葉のようなルックスに激しく惹かれ、どうしても欲しくなり、それでも当時は勝手にものを買うことを親から禁じられていたから、しかたなく、「これ、公園で見つけたんだよー」と嘘をついて何とかことな…

ヤギ

ぜんぜん関係ないけど、むかしぼくはヤギのことを「ヒツジの毛を刈り取ったもの」だとして認識してました。幼少時、母親にそう教わったという記憶がはっきりとあるのだけれど、本人に追求しても「覚えがない」とシラを切るばかり。 おかげでえらい恥をかいた…

文鳥

どうにも掃除機の吸い具合がよくない。寿命か。はたまた袋が既に許容量を超えているのか。等の思いを抱きつつ、さりげなく吸い込み口を見たところ、25年前に籠を飛び出してから行方不明になっていた文鳥が、きれいにひからびた状態で挟まっていた——というの…

くり返し

はっきりと学校で教わったという記憶はないのですが……でも、そうだったのかなあ? 「おなじ言葉をくり返すのを避けようとしている」のって。『翻訳家の仕事』(岩波新書)で、丘沢静也がそんなことを書いてたんだけど。 九年間、学生たちからたくさんのこと…

1Q

「あー、イチキューハチヨンって読むのか。アイキューハチヨンって読むのかと思ってた」なる声を2件採取。もちろん、こうした動きも、あらかじめ見越したうえでのタイトルなのでしょう。たぶん。7年ぶりの長編と謳われているあれ(→●)についての話。

続修正

報告。前回(→●)「louse」と書くべきところを、「louce」と打ってました。看過不可。ダブル赤面。もうしわけない。調べる手間を惜しむと、こういう目に合う(恥をかく)といういい証左で。 以下、何となく思い出したこと。 中2の英語のスペリングテストで…

霊降ろし

まったくもって、田山朔美というひとに関する情報は持っていなかったのだけれど、春日武彦が読売の書評で褒めていた(→●)のを機に手に取ってみたのです。特に、春日氏が、評の最後で「読んでよかったなあと素直に思える小説」と記していたのに、びびびと反…

修正

すいません。まちがえてました。前に書いた「lice」と「rice」の近似の件。「lice」(複数)ではなく、堂々と「louse」(単数)と打っていました。ぜんぜん気がつかなかったっす。赤面。 どうやら、英語の「r」というのは、 舌先を口の中のどこにも触れない…

エッセンシャル

16年ぶりの来日だとかそういうこととはまるで関係なく、最近聴いているのは、図書館で借りてきたサイモン&ガーファンクルの『エッセンシャル』。びみょうにここの世代とは(上とも下とも)ずれているから、このデュオの曲をじっくり聴くのは、実のところ、…

弓手

テレビとか映画を見ていて、左で箸やペンを持っているひとを目にすると、まあ「嬉しくなる」というほどの激しい感情ではないのだけれど、それでも、かすかに、自分の中で何かがぴくりと反応するのはれっきとした事実なんですね。ある分野での、マイノリティ…

巷説元

ひょっとすると、世代のちがうひとたちとは共有できてないのかなあと少しびくびくしつつ持ち出してみるのは、たとえばこんなエピソード。「ある日本人がアメリカに行ってレストランに入り米を頼んでみたのだけれど、ぜんぜんウェイターに通じなかった。どう…

少年/少女趣味

某所でね、少女趣味という言葉を侮蔑語の一環として扱っている文章に触れたんですよ。まあつまりは、甘ったるいとか考えなしとか、そういう意味で。ちなみに、侮蔑語を投げ掛けられた対象は(生物学的には)成人男性。 で、まあここで、少女趣味が侮蔑語とし…

夢の着想

あ。ちょっと驚いた。というのは、何だ、夢の中で「ウロボロスの蛇」が出て来た、ってエピソードは捏造かもしれないんだ。 Wikipedia:アウグスト・ケクレ 本当にケクレがこれらの夢を見たかについては疑うむきもある。 わりにショック……。睡眠信仰、という…

妖怪としての金融恐慌

なるほどなあ、と例によって例の如し、何に感心しているのかというと、先月26日の読売新聞で——またもや古い話で恐縮——山折哲雄が金融恐慌を「妖怪」に喩えていた文章に対してなのだけれど……これって、あれですよね、下の本で京極夏彦が通り魔を「妖怪」に喩…